彷徨い - 冬にわかれて
冬にわかれてによる最新作の「タンデム」。
リリースから時間が経ってしまいましたが、アルバムを通して聴いてみました。
この曲が一番のお気に入りで、バイト終わりの夜中に聴くと何とも言えない幸せな気持ちになります。
金星の横をそっと通り過ぎた人工衛星に
君は見とれて 動かなかった
まるでフルートのよう 君が褒めた衛星に
僕はあのとき嫉妬してた
金星は地球に最も近い惑星です。
金星探査機としてはJAXAの「あかつき」が有名だそうです。
金星はかなりの極限環境なので紆余曲折あったみたいですね...。
金星は「宵の明星」として知られ地球からも肉眼で観測することができますが、金星の人工衛星はもちろん地表からでは見えません。
高性能な天体望遠鏡を使えば見えるのかもしれませんが、この曲における「金星の横を通り過ぎる人工衛星を見る」という視点は宇宙船の中からなのかなと妄想してしまいます。
つまりこの曲は近未来のSFラブソングなんです、、たぶん。
人工衛星がフルートに見えるってどんな感性なんだろうと何度聴いても理解できないです(笑)。でもその不思議さが好きです。
いま 君を去って
この水の街を ふらり彷徨った
不思議な歌詞というと、そのあとの「水の街」というフレーズが印象的です。
このフレーズからもやっぱりSF感が感じられます。
地球も地表の多くを海が占めていますが、水の街というには違和感。
水の街と言えばベネツィアとかアムステルダムが有名ですが、やっぱりどうもこの曲の雰囲気とは違う気がするのです。
イメージとしては地球ではない別の惑星に存在する水中の都市。
妄想は膨らみます...。
君の見てる景色に飛び込めば
何かが変わるの 始まるの
一番大切な何かが
他人の見ている景色って全然違うから、すれ違ったりしてしまう。
見ている景色が違うのは、それまでの人生の境遇が違うから。
「同じ景色を見る」のではなく「飛び込む」という表現はこの歌の主人公が嫉妬していた人工衛星にとってかわりたいということでしょうか。
つまり「私を見てほしい!」的なイメージ。
のろしレコードの「コールドスリープ」も素敵なSFラブソングですが、この曲もお気に入りのSFラブソングになりました。