ロードムービー - Mr.Children
「友とコーヒーと胃袋」に続いて『Q』から。
やっぱり僕は『Q』が好きみたいです。
いびつなうねりを上げながら
オートバイが走る
寝ぼけた君を乗せて
ほんの少しだけ急いで
月明りが誘う場所へ
マシンが出てくると男は気を惹かれるものだと思います。
マシンが「煙をはく」とか、「火を吹く」とかはありふれた表現ですが、それでも大好きですね。
「寝ぼけた君」っていうのがいいですね。
月明りが「射す」場所ではなくて「誘う」なのはさりげなく洒落ていて格好いいと思います。
カーラジオもなくそしてバックもしない
オートバイが走る
ただ君の温もりを その優しい体温を
この背中に抱きしめながら
ラジオがなくて、バックしないオートバイって普通のオートバイですよね。
中3の頃によく聴いてたんですけど、この節がなんの取り柄もない自分の暗喩だという解釈を見たときは、中学生ながら感心してました。
そんな自分の傍にいてくれる大切な人をのせて走る夜の道。
小説の一幕みたいで好きです。
泣きながら君が見ていた夢は何を暗示してるの?
ガラスが飛び交う空にモノクロの輝く虹
誰も笑ってやしない動物園
とても暗くて冷たい歌詞。
この部分は特にこの曲の主人公である二人が抱える問題や暗いものを想起させます。
この曲の纏う雰囲気を成すのにとても大きな役割を果たす節だと思います。
汗ばむ季節 君がふと見せてくれた情熱
ファミレスの裏の野良犬が見てたキス
スカートの裾濡らしはしゃいでた あのビーチハウス
そんなシーンを道連れにして
この体言止めの羅列。
こんなにも「淡い一夏の記憶」を思わせる歌詞は書ける桜井さんはやっぱりすごいなと思います。
ちなみに「HANABI」のB面の「夏が終わる」という曲が大好きなんですが、この曲でも「ビーチハウス」が登場します。
同じ夏を描く曲でも、こちらは夏の終わりの哀愁が漂う曲です。
街灯が二秒後の未来を照らし
オートバイが走る
等間隔で置かれた闇を超える快楽に
また少しスピードを上げて
もう一つ次の未来へ
オートバイで駆ける夜道を交互に訪れる光と闇。
そんな景色をこんな風に表現できるのは流石としか言いようがないです。
原付を乗るようになってから、夜の道を走るときはこの歌詞をいつも思い出します。
確かに「闇を超える快楽」があります。(笑)
終わり方が最高。
決して明るい歌ではないけれど、「未来へ」と目を向ける。
心地が良くて、ほんの少し希望を手に入れることができる曲だと思います。