Life Is Party

NEW MUSIC , NEW LIFE

雨の散歩道 - 小山田壮平

 

こんな曲をさらっと作ってしまうことに驚いてしまった…。

 

「誰の歌かな。いい歌だなぁ」

そう思ったのに。

 

 

まさかのオリジナル。

絶句でした。

 

 

振れ幅があると言ったらおかしいけど、この曲はすごくカバーっぽさがある。

 

 

それだけ今までの曲とは少し異色な感じがしたんです。すごく良い意味で。

改めてソングライティングに感服したのと、これからもずっと音楽を通して魅了してくれるんだろうなと思って嬉しくなりました。

 

 

特徴的なのは繰り返される冒頭と途中に出てくる印象的なリフ。

勝手な思い込みですが、小山田さんって基本的にアコギをジャカジャカとストロークしてるイメージがあったので新鮮でした。

 

子気味いい音とリズムが絶妙な、良いフレーズだなと思います。

 

雨の中 今日も誰かを探して

たどり着く 歌で励ましながら

昨日の夢に見た会えない人と歩いてる

住み慣れた街で

 

「 夢に見た会えない人」というのが切なすぎる。

「輝く飛行船」が見た夢から生まれたように、この曲もまた夢を見て着想を得た曲なのかもしれません。

 

 

風の中 我は孤独の旅人

いや ただの寂しがりやの酔っぱらい

あなたの心が動くのならば

歌えるよ 愛のある話

 

「我」っていう一人称を使ってるのもカバーかなと思った要因ですが、思えば小山田さんは一人称を歌詞にあまり登場させてないような。

 

「僕」は「僕が白人だったら」や「僕がハクビシンだったら」。

「俺」なら「愛してやまない音楽を」、「クレイジークレイマー」とか。

「私」を「彼女が煙草をやめない理由」で使っていたような気がしますが、それくらいしか思い浮かびません。

 

 

 

君のことがわからないんだ

この恋は止まない

 

この部分のファルセットは胸が苦しくなります。

本当に綺麗です。

恋が「止まない」というのは、雨が「止まない」のと掛かってるのかな、なんてぼんやり思いました。

 

俯いて次のバスを待つ人

濡れ始めた背広を気にしながら

 

背広のくだりなんかは小山田さんぽくないと思いました。

昭和の歌謡曲みたいなイメージが思い浮かびました。

すごく大好きな描写です。

 

ふざけあう少年少女のように

あるがまま、のままであるかのように

逃げていく今を追いかけている

哀れなもんだと笑いながら

 

純粋なままではいられないけれど、ありのままでいられたらと願う。

その反面無理している自分を自嘲するような。

「〜なもんだ」っていう言い方もいつにない感じ。

なんだか昭和歌謡のようなものを意識しているような気がします。

 

 

あなたのために頑張っているのに

こんなにも愛しているのに

 

「私に人生といえるものがあるなら」の歌詞に通じたものを感じました。

小山田さんがたまにカバーする曲です。

 

「私に人生といえるものがあるなら」より、

愛していたのに

あなたは消えた

信じていたのに

何故かわからない

 

「愛していたのに何故わかってくれないの」

側から見れば独りよがりで情けない言葉です。

 

でも人間らしくて、情熱的で。

普通はダサくて歌詞にしないような感情ですが真っ直ぐな気持ちを歌うことをためらわないのは素敵だと思います。

 

 

小山田さんの声がグサグサ刺さるいい曲です。

どうやら梅雨入りしたようなので、これからしばらく散歩のお供です。

 

 

にしてもYouTubeにほろ酔いバージョンとベロ酔いバージョンがあることの面白さと言ったら…。

こんなミュージシャンなかなかいないでしょ。(笑)