鳥 - 折坂悠太
昨日、『道』について書いていた時、『たむけ』を聴き直して「あー、この曲もいい」となった曲です。
大きな男が泣きわめく 型を震わせ唾飛ばし
息もできない暗闇を 水面目指して泳ぎだす
若い女が諦める 髪をまとめて息をつく
思いがけない年月が 地上めがけて降りてくる
1番と2番の歌詞。男と女が対照的です。
この歌詞を見てすぐさまこの「男」と「女」の情景が思い浮かんできました。
いつも同じことを書いていますが聴いていて自ずと情景が浮かび上がる表現力に惹かれます。
「大きな男」は深海のような深く光の届かない所にいるのでしょう。そして光と空気を求めて水面へと苦しみながらも向かっていく。
「若い女」はふと立ち止まり過去を顧みたとき、今まで駆け抜けてきた月日にあっけなさのようなものを感じてしまったのかな。
しかも駆け抜けてきた日々のなかで自分が成そうとしていたことも、たった今あきらめてしまった。
思いがけず、とても長い月日を無駄にしたような寂寥感が自分に降りかかってきてしまった。
鳥よ 鳥よ 鳥よ 鳥よ 鳥よ 鳥よ 僕と似た鳥よ
鳥よ 鳥よ 鳥よ 鳥よ 鳥よ 鳥よ 僕と何処か
鳥に自分の姿を見て「僕と何処か」と呟いた。
この続きはいくらでも解釈できそうですが、僕が思い浮かべたのは「僕と何処か遠くへ」。andymori の「遠くへいきたい」がなんとなくダブったからです。
結構しっくり来てるのですがどうでしょう。
「息もできない暗闇」が深海だとするなら、この歌は空と地上と海を絡めて心模様を歌っているのではないでしょうか。
小説を読んでいる気分になります。いい曲。